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2007年8月 3日 (金曜日)

自分が消えていく!

 クリスティーン・ボーデンさんが書いた「私は誰になっていくの?」という本を、以前読んだことがある。彼女自身もアルツハイマー病を患っているのだが、その本のなかで「まるで、私が少しずつ消えていき、違う誰かになっていくようだ」との記述がある。認知症という病を抱え生きるとは、どれほどまでに辛いことか、正直、私には分からない。分からないからこそ、当事者の声には真剣に傾聴しようと思っている。

 今日、私に不安な表情で「何で私はここにいるんですかね?自分のことが自分で分からないんです。お願いです・・・・家族に電話してもらえませんか?」と、ひとりの男性が訴えてきた。

 「自分らしさ」とは、過去・現在・未来という意識の繋がりや、自分を取り巻く人や物との関係性の中に生まれてくるものかもしれない。もし、そうならば記憶力や見当識の障害を持つ認知症の人が「自分らしさ」を保ち続けるためには、手がかりとなるものが必要になってくる。もし、自分自身がそうだったら、どんな手がかりを求めるのだろうか・・・・?大切な家族を忘れないように、自分の部屋には家族の写真を置いてほしい。OTの仕事はできなくなっても、何か人が喜んでくれるような役割を与えてほしい。そして、大切な何かが思い出せなくて困った時に、さりげなく手を差し伸べてくれる人が傍らにいてほしいと思うだろう。

 パーソンセンタードケアでは「ヒトが人として生きていくために最低限必要な心理的ニーズ」として、①安心の感情②特定の絆や結びつきを持ち続ける③社会の一員であり続けること④意味ある活動にたずさわること⑤過去との継続性の感覚を持つこと。これら5つのニーズを満たしていくことが大切であると述べている。確かに、「自分らしさ」を保つための手がかりが与えられ、このような心理的ニーズが満たされれば、なんとか「自分」を繋ぎとめることができるのかもしれないが・・・・。先ほど不安を訴えてこられた男性の場合、私たちは、どれ程までに彼の心理的ニーズを満たせていたのだろうか?と考えると只々反省するばかりです。

 

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家族は最も大切な存在だ。今年の夏は、ショパンが生まれ育ったポーランドに家族旅行をする計画をしている。ポーランドで是非訪問したいのは、オシフィエンチムという小さな町。オシフィエンチムは、ドイツ語でアウシュヴィッツと言う。1940年にナチス・ドイツによって建設された人類虐殺所であるアウシュヴィッツ... ... [続きを読む]

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