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2007年8月 6日 (月曜日)

認知症の人に愛情を持って・・・という前に

 先日、飲みに行ったときに飲み屋のお姉ちゃんに携帯のことで笑われてしまった。「ワーこんな化石携帯はじめてみたー!」だって・・・。そのせいではないのだが5年ぶりに携帯を換えることになった(ブログに綺麗な写真を掲載したかったのが携帯を換えた理由です)。

 どうやら、古いものには価値がないとでも言いたいらしい。それじゃ、老いや老人はどうであろうか?「人と物を一緒にするな!」と言われそうだが、新しさ、若さこそ価値があるという現代の社会的・文化的価値観は、私達の老いや老人の見方に多かれ少なかれ影響を与えているように思う。

 老人の処遇の歴史(「老いの人類学」青柳まちこ、世界思想社)(「嫌老社会」長沼行太郎、ソフトバンク新書)を振り返ってみると、昔から、老いや老人に対する冷遇(侮辱や隔離、放置、遺棄等)は確かに存在していたようだ。しかし、文化や経験の伝承者、あるいは家父長制などによって、社会的な役割や敬われる存在として、老いや老人に対する肯定的な価値が継承されてきたと思う。ところが、そのような制度や思想が崩壊、形骸化して、昨今は、老人に対するプラスのイメージを持つことが益々困難になってきている。

 また、市場経済のシステムでは、新しい商品と古い商品とのギャップが利潤を生む出すという仕組みがある。このようなシステム社会の中では、合理性や生産性の高い人間が要求されることになる。学歴偏重や脳活性化ブームなどもその影響にあるのかもしれない。今後益々激化していく市場経済システムの中で、私達は老いや老人に対するプラスの価値観見出すことができるのであろうか。老人達は、やがて社会の傍らに押しやられてしまうのだろうか。

パーソン・センタード・ケアの提唱者であるTom Kidwoodは「現代の産業社会、工業社会では、認知能力(記憶力、理解力、見当識、判断力など)に重きを置きすぎているが、「その人らしさ」を形作っているものには情動・行動形式・周囲との繋がり・愛着・個別性など様々な要素が含まれている」と考えていたようである。生産性や新しさに偏重した見方ではなく、ホリスティックにその人となりを理解していくことが、老いや老人、そして認知症の人達に対するマイナスイメージを払拭するには大切なのかもしれない。昨今、認知症ケアについて技術論的に語られることも多いが、その前に、老いや老人に対する社会的・文化的価値について再考してみる必要もあるのではないでしょうか?

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