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2007年11月30日 (金曜日)

回想はおかしなこと

 回想とは「個人が過去の人生経験を自由に思い出す行為、または過程」である。人は、年齢を重ねるに従って「あの頃はよかった・・・」などと昔の思い出を偲んだりする。とくに高齢者が自分の人生を振り返って回想することは、とても自然なことのように思えるのだが、ひと昔前の米国では、否定的に捉えられていたと聞くとちょっと驚きを感じる。

 『回想の利用(Marc Kaminsky "The uses of Reminiscence"1984 The Haworth Press)』には、60年代の米国の状況をしのばせる興味深い文章が掲載されている。これを書いているのは、その頃老人ホームの職員として働き始めたばかりの女性。彼女は、先輩の職員や担当の精神科医から、入居者がよく思い出話をするというのを聞かされていた。先輩達の見解は、「思い出話をするのは、よい傾向ではないが困難な歴史を生きてきたのだからやむをえない」というのが最も肯定的なほう。最悪の場合は、「病的」や「時の流れや現実の否定」などとまったく否定していた。挙句になるべく回想を避けるようにゲームや手芸が勧められていたという。(回想法~思い出話が老化を防ぐ~.矢部久美子.河出書房新社)

 確かに、人によっては回想により過去の後悔ばかりを振り返って抑うつ的になってしまうものや、時にはそれが本人を深く傷つけてしまうこともある。しかし、回想することには、もっとプラスの意味も含まれているのではないだろうか。

 人生を振り返ることは、人が死に直面した機会に出会うと、自然に誰もが経験する心の過程である。とくに、積極的に過去の解決されていない問題を意識的に眺めることは、気持ちの安定に繋がっていくものである。

 じつは、60年代の米国に、このように高齢者が回想することを、自然で普遍的な生の営みであり、意味のあることだと肯定的に捉え直した人がいた。それが精神科医ロバート・バトラーである。彼の「回想を臨床的な活動に積極的に組み入れよう」という提唱は、多くの人に影響を与え、「回想法」が誕生するきっかけとなった。

 私たちも、今年の4月からリハの一環として、回想法を週に2回実施している。7~10人程のこじんまりとしたグループではあるのだが、利用者の反応は上々である。

 先日も、はじめて参加された男性が「病院という場所に、こんな会があると友人もできてとてもいいですね」と嬉しそうに語っていた。それ以外にも、元大企業の管理職の男性は「私の自慢できることは、人を馬鹿にしないことです!」と語り、その意見に「その通りだ!」「人間の基本やな~」と賛同する人たちがいたり。時には、「文字が見えますか?」「私のものを貸しましょうか?」と他の参加者を思いやる人がいたりする。毎回のことであるが、病棟内では決して見ることのできないような表情や行為に心打たれてしまう。おそらく、認知症の人が自分の思い出を、よき聞き手と一緒に振り返ることには、情緒の安定や質の高い関係性を構築していく、そんな作用があるのかもしれない。

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